本物のロードゴーイングレーサー、ダラーラ ストラダーレ。フォーミュラにも通ずる実力を測る 【Playback GENROQ 2018】

公開日 : 2021/05/12 17:55 最終更新日 : 2021/05/12 17:55

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ダラーラ ストラダーレの走行シーン

Dallara Stradale

ダラーラ ストラダーレ

 

 

次の勝負はストリートで

 

ダラーラといえば、モータースポーツ界にその名を轟かせる名コンストラクターだ。そのダラーラが自社ブランドのスポーツカーを市販すると発表してから4年。ついに彼らの作品「ストラダーレ」のステアリングを握る日が訪れた。

 

ダラーラ ストラダーレのフロントスタイル

地を這うようなフォルムのダラーラ ストラダーレ。フロントウインドウを持たない仕様も用意されているあたり、彼らの出自がサーキットであることを感じさせる。

 

「スーパーフォーミュラのマシンも製作するダラーラ」

 

フェラーリ、マセラティ、ランボルギーニ、そしてデ・トマソと、多くの自動車メーカーでエンジニアとしての卓越した才能を発揮したジャンパオロ・ダラーラ。そのダラーラが常に意識していたのはモータースポーツの世界だった。1963年に設立されたランボルギーニに活躍の場を求めたのも、新興勢力ゆえの自由な社風によって、あるいはモータースポーツへの道も開かれるのではないかという期待があったことは確かだし、12気筒ミッドシップのミウラを生み出してもなお、創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニにはその意思がないことが分かると、ダラーラは躊躇することなく、ランボルギーニを去ることを決断した。

 

モータースポーツに積極的に関係したいというダラーラの夢は、結局は1972年に自らの名を掲げたレーシング・コンストラクター、ダラーラ社を設立するまで待たなければならなかったが、ここからのサクセス・ストーリーは、モータースポーツの世界に詳しい者ならば、誰もが知る通りだ。現在では日本のスーパーフォーミュラや、アメリカのインディカー・シリーズの全車がダラーラ製のマシンを使用。スーパーフォーミュラに関しては、近く2019年シーズンから新規投入される「SF19」のシェイクダウンテストもスタートする予定だ。

 

ダラーラ ストラダーレのフロントスタイル

全長は4185mm、全高は1041mmと、現代の基準でみると非常に小さなボディ。カーボンなどを多用した軽量設計で、その乾燥重量はわずか855kgだ。

 

「ナルドのテストコースと一般ストリートを試乗」

 

そのダラーラが、長年のレース活動で培ったノウハウをもとに、魅力的なロードカーを造り上げた。今後5年間にわたって、600台が限定生産されるという、そのロードカーの名は「ストラダーレ」。ダラーラ製のマシン、しかも最新モデルのステアリングを握ることができるのは、これまでレーシングドライバーの中でも、さらに選ばれた人間のみに限られていたことを考えれば、600人のストラダーレのカスタマーに自分の名を連ねるのは、それだけでも十分な価値があることといえる。

 

昨年の11月に正式にスペックやパフォーマンスが発表されてから、その存在が常に気になっていたダラーラ ストラダーレ。そのステアリングを握るチャンスがついに訪れた。テストドライブのプログラムは2日間にわたって行われ、1日目は現在ポルシェが所有する、南イタリアのナルド・テクニカルセンターのハンドリングコースで、2日目はここから風光明媚なサレント半島の一般道、すなわちストラダーレをドライブするというスケジュールだった。

 

ダラーラ ストラダーレの走行シーン

1トンを切る超軽量なボディのミッドには、2.3リッター直4ターボを搭載。最高出力400ps/最大トルク500Nmのスペックを誇り、最高速度280km/h、0-100km/h加速3.25秒のパフォーマンスを発揮する。

 

「バルケッタを基本に、キャノピー付きのクーペなど4タイプへと仕様変更が可能」

 

直径が4km、一周が14km強にも達する、真円の高速周回路があることで知られるナルド・テクニカルセンターで初対面したストラダーレは、実に妖艶なスタイルのスポーツカーだった。ダラーラと、トリノのグランスタジオのコラボによって生み出されたボディは、フロントウインドウさえも備わらない「バルケッタ」スタイルが基本で、ここからカスタマーはフロントウインドウを装着した「スパイダー」、Tバールーフの「タルガ」、さらにはガルウイング・ウインドウを備えるフルキャノピーの「クーペ」と、アタッチメントパーツによって、そのスタイルを好みの仕様に変更することができる。このシステムを可能にしているのは、もちろんこのストラダーレの基本構造体が、ダラーラ自慢のCFRP製モノコックであり、それが走行中の全ストレスを負担するからにほかならない。

 

ハンドリングコースでドライブしたストラダーレは、オプションのトラック・パッケージが装着されたモデルで、その中には専用セッティングのサスペンションや大型のリヤウイングなど、よりサーキット走行にフォーカスした装備が含まれる。トランスミッションはMTとロボタイズドのいずれも6速が選択可能だが、ハンドリングコースでは後者でその走りを味わうことになった。

 

ダラーラ ストラダーレの走行シーン

ドライバーズシートからの視点はかなり低い。インパネにスイッチの類はほとんどなく、ライトやウインカーのスイッチなどはステアリングに配置される。

 

「855kgとされる車重から想像していた以上に軽快な加速だった」

 

元F1ドライバーであり、このストラダーレの開発プロジェクトには初期から携わってきたマルコ・アピチェラがドライブするストラダーレに先導されて、ハンドリングコースをドライブする。まず印象的なのは、スタンダードな仕様ではわずかに855kgとされる車重から想像していた以上に軽快な加速だった。

 

ミッドに搭載されるエンジンは400psの最高出力と500Nmの最大トルクを誇る2.3リッター仕様の直列4気筒ターボで、これはフォード製のエコ・ブーストをベースとするものの、その中身はもちろんダラーラのエンジニアリングチームによる独自の設計だ。ターボラグをほとんど感じさせずに、かつアクセルペダルの微妙な動きにも瞬時に、そして正確にレスポンスしてくれるから、これもまたサーキット走行においては大きな安心感を生み出してくれる。コンパクトなパドルでシフトするロボタイズド6速ギヤボックスの動きも、実にスムーズでクイックだ。

 

ダラーラ ストラダーレの走行シーン

テストコースではもちろん、一般公道でも高いコーナリング性能を存分に楽しむことができたという筆者。「驚かされたのは、乗り心地や快適さといったロードカーとしての基本性能が高いレベルにあること」であると、完成度の高さにも高評価を与えた。

 

「このままどこまでも走り続けたい──誰もがそう感じることだろう」

 

ラップを重ねていく中で、走りを非常に魅力的なものと感じさせる最大の理由が、エアロダイナミクスにあることが分かってきた。ちなみにこのストラダーレは、0-100km/hを3.25秒で加速し、最高速度では280km/hを可能とするマシン。最高速時には車重に匹敵する820kgのダウンフォースがスタンダードなモデルでも得られるが、トラック・パッケージ仕様の試乗車ならば、さらに大きなダウンフォースが発生しているだろう。今回はストレートエンドで240km/hほどの速度に達することができたが、ここからそのまま進入する左コーナーでは、このダウンフォースの恩恵をダイレクトに体感することができた。

 

翌日のオンロードドライブで用意されたのは、3ペダルの6速MT仕様。ペダル間のクリアランスがやや狭いことが気になったが、コーナリングマシンとしての楽しさは、テストコースでの印象とまったく変わらなかった。さらに驚かされたのは、乗り心地や快適さといったロードカーとしての基本性能が高いレベルにあること。このマシンでどこまでも走り続けたい。ダラーラ・ストラダーレのステアリングを握るカスタマーは、誰もがそう感じるに違いない。

 

 

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKAI)
PHOTO/Dallara Automobili S.p.A.

 

 

【SPECIFICATIONS】

ダラーラ ストラダーレ

ボディサイズ:全長4185 全幅1875 全高1041mm
ホイールベース:2475mm
乾燥重量:855kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:2300cc
最高出力:294kW(400ps)/6200rpm
最大トルク:500Nm(51kgm)/3000-5000rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
最高速度:280km/h
0-100km/h:3.25秒

 

 

※GENROQ 2018年 5月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2018年 5月号 電子版

※雑誌版は販売終了