コーナリング性能はクーペを凌駕!? アストンマーティン ヴァンテージ ロードスターが魅せる「洗練度」

公開日 : 2021/05/29 17:55 最終更新日 : 2021/05/29 17:55

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アストンマーティン ヴァンテージ ロードスターの走行シーン

Aston Martin Vantage Roadster

アストンマーティン ヴァンテージ ロードスター

 

 

素早い所作でラグジュアリーGT性能もアップ

 

高い運動性能を誇るスポーツコンバーチブル、ヴァンテージ ロードスター。昨年デビューの際にフロントグリルを2種類から選択できるようになったが、今回新たな選択肢となるベーングリルを装着した1台に試乗した。

 

アストンマーティン ヴァンテージ ロードスターのフロントスタイル

コンパクトなソフトトップはオープン時6.7秒、クローズ時6.8秒でZ字型に折りたたまれる。50km/h以下なら走行中でも開閉可能だ。試乗車が装着するホイールはスノーフレーク・グロスブラック・ダイヤモンド旋削仕上げ。キャリパーはイエロー以外に様々な色を選択できる。

 

「GTカテゴリーにおいて数々の栄光をもたらしたヴァンテージ」

 

1950年代以降、アストンマーティン流のハイパフォーマンスを示す符号として用いられてきた「ヴァンテージ」。英語で優位や優越という意を持つそれは、ヴィラージュをベースとした高性能モデルの生産が終了した99年以降は封印されていた。それに代わるように現れたのがヴァンテージより一層強い征服の意を持つ「ヴァンキッシュ」だ。

 

巷では21世紀のアストンマーティンを代表する符号はそれになるのかという見立てもあった。が、2005年にヴァンテージは独立したモデル名として復活を遂げる。最もコンパクト、そして最もスポーティという明快な趣旨に沿ってヴァンテージは活躍の場をサーキットにも広げ、GTカテゴリーにおいて数々の栄光をアストンマーティンにもたらした。

 

アストンマーティン ヴァンテージ ロードスターのインテリア

クーペと大きく変わることのないインテリア。物理スイッチを多用しており操作性はいい。ソフトトップの開閉スイッチはドアに配置されるミラー調整スイッチの後方にある。

 

「ガチのバックボーンとラグジュアリースポーツとの乖離を是正するロードスター」

 

18年にフルモデルチェンジを受けた現行ヴァンテージも、レースフィールドに最も近いアストンマーティンというポジションを継承している。昨年のル・マン24時間レースでクラス優勝を果たし、WECでもGTクラスでタイトルを獲得した。ワークスとしてのレース活動はF1に移ったが、カスタマーサポートという形でGTカテゴリーは継続することになる。ちなみに今年のF1のセーフティカーを担うのもヴァンテージだ。

 

こういったガチのバックボーンと、多くの人がアストンマーティンに抱くブランドイメージ=ラグジュアリースポーツとの間に乖離があるというのが、ビジネス面におけるヴァンテージの悩みどころだったのかもしれない。そのイメージを後者側に寄せるべく、昨年のロードスター投入時から用意されたのがベーングリルのバンパーフェイシアだ。

 

アストンマーティン ヴァンテージ ロードスターのエンジン

すでに馴染んだ感のあるAMG製4.0リッターV8ツインターボエンジン。フェンダーまで開くフードを開けると、バルクヘッドに食い込むV8に圧倒される。

 

「メルセデスAMGから供給を受け、独自チューンを施す4.0リッターV8ユニット」

 

横方向に伸びる金属製のルーバーが強調され、併せて凸型グリルの周縁やリップ部の形状もプレーンな処理となったその表情は、確かに従来のレーシーなメッシュグリルとは異なるトラッドな雰囲気をヴァンテージにもたらしている。広報写真では目にしていたものの、今回始めて現物に対面し、ここまで印象が異なるものかと驚かされた。

 

ヴァンテージシリーズのスペックに発表以来の大きな変化はない。メルセデスAMGから供給を受け、独自のチューニングが施された4.0リッターV8ユニットは510ps/685Nmを発揮、そのパワーはトランスアクスルで配されたZF製の8速ATを介して後輪にアウトプットする。0-100km/h加速は3.8秒、最高速は306km/hとなる。

 

アストンマーティン ヴァンテージ ロードスターの走行シーン

洗練された低速域からの乗り心地と路面追従性の向上を感じた筆者は「スパルタンなスポーツカーという一面が強く現れていたヴァンテージに備わったGT的な包容力」がロードスターの特徴であると評価する。

 

「クーペと比較し、むしろワインディング適性はこちらの方が高い」

 

登場当初に乗ったヴァンテージはそのフットワークもいかにも体育会系なハードさで、パワーをガンガン掛けて走ればしなやかに動くものの、常速域では粗さがやや目立つ仕上がりだった。その力みが抜けたというイメージだろうか、今回の試乗車では屋根開き物という要件を差し引いても低速域からの乗り心地は洗練され、バネ下の路面追従性も明らかに向上していた。表立って何かが変更されたという情報はないが、造り込みの精度確度が高まっての結果・・・と、手作業工程も多いこの手のクルマにはままある話だ。

 

オープン化によるハンドリングの変化は微細だ。というより、アンジュレーションをしなやかに受け止めるなどむしろワインディング適性はこちらの方が高い。ともあれ後輪側のどっしりした安定感はFRらしからぬもので、電子制御デフによる旋回能力の向上ぶりもきっちりスロットルワークで引き出せる。独自のマネジメントが施されたV8はアクセルのツキが良く、回転域を気にすることなく実効的なパワーがラグなくもたらされるところも美味しい。そのサウンドは、回すほどに粒立ち細かく高音が揃っていくというよりも、ドスの効いた中低音の存在感が増していく男臭いキャラクターだ。この野味にイギリスのスポーツカーらしい精神性を感じる人も多いだろう。

 

スパルタンなスポーツカーという一面が強く現れていたヴァンテージに備わったGT的な包容力。ベーングリルはそれを外観から物語るアイテムというわけだ。

 

 

REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)

掲載雑誌/GENROQ 2021年 7月号

 

 

【SPECIFICATIONS】

アストンマーティン ヴァンテージ ロードスター

ボディサイズ:全長4465 全幅1942 全高1273mm
ホイールベース:2704mm
車両重量:1628kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3982cc
最高出力:375kW(510ps)/6000rpm
最大トルク:685Nm/2000-5000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前255/40ZR20 後295/35ZR20
CO2排出量:262g/km(EU複合)
燃料消費量:8.6km/L(EU複合)
最高速度:306km/h
0-100km/h加速:3.8秒
車両本体価格:2159万9000円

 

 

【問い合わせ】
アストンマーティン・ジャパン・リミテッド
TEL 03-5797-7281

 

 

【関連リンク】

・アストンマーティン 公式サイト

http://www.astonmartin.com/ja