ランボルギーニ エッセンサ SCV12、世界初となるロールケージ不要のGTレーシングカー!

公開日 : 2021/06/09 11:56 最終更新日 : 2021/06/09 11:56

史上初のFIAハイパーカーの安全規定をクリア、新世代カーボンファイバーモノコックシャシーを採用した「ランボルギーニ エッセンサ SCV12」

Lamborghini Essenza SCV12

ランボルギーニ エッセンサ SCV12

 

 

スチール製ロールケージを使わず安全性を確保

 

アウトモビリ・ランボルギーニが開発した「エッセンサ SCV12」は、新世代カーボンファイバーモノコックシャシーを採用した史上初のトラック専用スーパースポーツとして登場した。今回採用された世界最高峰の複合材技術は、ランボルギーニの30年に及ぶ研究・開発の成果により実現している。

 

エッセンサ SCV12は、カーボン製モノコックがロールケージの役割を持っており、これまで見られたようなスチールパイプ製ロールケージを使用せずに、WEC(世界耐久選手権)を走行するFIAハイパーカーの安全規定をクリア。開発を担当したモータースポーツ部門、スクアドラコルセを率いるジョルジョ・サンナはエッセンサ SCV12の革新性を次のように説明する。

 

史上初のFIAハイパーカーの安全規定をクリア、新世代カーボンファイバーモノコックシャシーを採用した「ランボルギーニ エッセンサ SCV12」

最高出力830hp以上を誇るV12エンジンを搭載し、ランボルギーニ史上最強を謳うエッセンサ SCV12。驚くべきはロールケージを持たずにFIA規定を満たす強靭なカーボンモノコックの採用だ。

 

「エッセンサ SCV12は、“走る実験室”として誕生しました。例えば、GTカーとしては革新的な、ギヤボックスに直接サスペンションを取り付けるなど、通常はWECを戦うようなレーシングプロトタイプに見られる技術的なソリューションを採用することができました」

 

「さらに、FIAとの技術協力により実現した、スチール製ロールケージを持たない新しいカーボンファイバー製モノコックシャシーを採用しています。こちらは将来的にGTシリーズに参戦するドライバーの安全性を飛躍的に向上させる試みになります」

 

史上初のFIAハイパーカーの安全規定をクリア、新世代カーボンファイバーモノコックシャシーを採用した「ランボルギーニ エッセンサ SCV12」

サーキット専用モデルとして開発されたエッセンサ SCV12は、FIAがWECに導入したハイパーカー規定の厳しい安全基準をすべてクリアしている。

 

FIAの厳しい安全規定をクリアしたカーボンモノコック 

 

エッセンサ SCV12のカーボンファイバー製モノコックシャシーは、サンタアガタ・ボロネーゼの本社ファクトリー内にあるランボルギーニのCFK部門によってオートクレーブ成形で製造。このCFK部門はアヴェンタドールのシャシー製造も担当している。

 

FIAがモノコックシャシーのホモロゲーション取得のために求めるテストは、静的テストと動的テストの両方が含まれており、非常に厳しい安全基準をクリアしなければならない。スクアドラコルセの技術者たちは、エッセンサ SCV12のシャシーのベースとなったプロダクション仕様のシャシー構造を大幅に変更した。

 

カーボンファイバー製モノコックは、大規模なポイント補強が施されており、FIAによるホモロゲーションテストでは12トン以上の力にも耐え、大きな形状変形は一切なかった。シャシーだけでなく、ペダル、ベルト、燃料タンクを含む20以上コンポーネントも同様の静的テストをクリアしている。

 

一方、動的な衝突試験では、最大で毎秒14mの速度で衝撃が加えられた。このテストではドライバーと接触する可能性のある外部要素がコクピット内に侵入してはならず、同時に燃料タンクからの漏洩も一切許されない。

 

史上初のFIAハイパーカーの安全規定をクリア、新世代カーボンファイバーモノコックシャシーを採用した「ランボルギーニ エッセンサ SCV12」

スクアドラコルセの技術陣は、レーシングカーやトラックカーではお馴染みのスチールパイプ製ロールケージの採用を見送り、カーボンファイバー製モノコックシャシー全体で剛性を確保した。さらに、快適な室内空間も実現している。

 

従来のスチールパイプ製ロールケージを排除

 

エッセンサ SCV12の開発に際して、スクアドラコルセの技術者たちはスチール製ロールケージの不採用を決めた。シャシー内部に革新的なラミネートフォーム(ROHACELL 71 XT)を使用することで、軽量化と高剛性を両立しながらコクピットのスペースを大幅に拡大。ドライバーに快適なコクピット空間を提供することが可能になった。

 

FIAの安全規定「8862」をクリアしたOMP製レーシングシートは、ランボルギーニのCFKラボで製造されたカーボンファイバー製クレードルにマウント。シート高は現行ロードモデルよりもかなり低く設定されており、ドライバーとパッセンジャーは見慣れたスチール製ロールケージの代わりに、ドア内側に備わる複合素材で作られたサイドインパクトガードによって保護される。

 

ランボルギーニのファクトリードライバーを務めるマルコ・マペッリはエッセンサ SCV12のコクピット環境について、次のようにコメントした。

 

「エッセンサ SCV12は、サーキットで爽快な走りを実現する最高に速いスーパースポーツですが、同時に信じられないほど快適で広いキャビンを備えています。これはこのクルマが対象とするすべてのジェントルマンドライバーにとって非常に喜ばしいポイントでしょう」

 

史上初のFIAハイパーカーの安全規定をクリア、新世代カーボンファイバーモノコックシャシーを採用した「ランボルギーニ エッセンサ SCV12」

40台限定で製造されるエッセンサ SCV12のデリバリーは2021年4月からスタート。6月末からは専用のサーキット走行イベントも開始される。マペッリもインストラクターとして参加する予定だ。

 

2021年6月から専用トラックイベントを開催

 

もうひとつのトピックとして挙げられるのが、モノコック後部に設置されたクレードルだ。このクレードルはエンジンに対して縦方向に装着。これによりウラカン GT3 EVOより20%も高いねじり剛性値を実現している。マペッリはエッセンサ SCV12の剛性レベルについて次のように付け加えた。

 

「トップスピードにおいては1200kgを超える空力的負荷がかかります。エッセンサ SCV12のねじり剛性の高さは、そのドライビング精度に貢献しています。ドライバーはステアリングの角度を大きく変えることなく、スピードに乗ってコーナーを曲がることができるのです。最高出力830hpという凄まじいパワーも持っていますが、それもあってドライブは比較的簡単にできるでしょう」

 

エッセンサ SCV12の1号車は2021年4月にデリバリーが開始されており、6月末からは専用のサーキットイベントがスタートする。