ロールス・ロイスに「付属」する超高級時計。皇帝も愛したボヴェの名作タイムピースをペアで標準搭載

公開日 : 2021/06/13 11:55 最終更新日 : 2021/06/13 11:55

ロールス・ロイス ボート・テイルのクロック

ロールス・ロイスを完全特注できる「コーチビルド」

 

ロールス・ロイスは2021年5月に、グッドウッド本社で新たにコーチビルド部門を立ち上げたことを発表。観音開き型リヤデッキを備えた世界に3台だけの「ボート・テイル」をお披露目し、カスタマイゼーションやビスポークとは一線を画す、究極の特注品がロールス・ロイスであれば可能であると宣言した。

 

実寸大のクレイモデルを作り、スタイリングそのものから特別仕様に仕立てあげたボート・テイル。車両自体が別格なのはもちろん、クリストフル社製のカトラリーセットやプロメモリア製のスツールなど、錚々たる面々が共同開発のパートナーに名を連ねている。

 

ロールス・ロイス ボート・テイルのボヴェ製クロック。腕時計の状態。女性用

ロールス・ロイス ボート・テイルに“標準搭載”するボヴェ製クロック。写真は腕時計にした状態の女性用。

 

ボヴェの芸術作品を車載クロックに

 

なかでも目を見張るのが、スイスの名門時計ブランド「ボヴェ(BOVET 1822)」が車載クロックを手掛けたという事実。スイスの時計ブランドとしては7番目に古い歴史をもつボヴェは、かつては装飾性の高い懐中時計を清朝皇帝や貴族に向けてリリースし成功を収めていた。新生ボヴェとして復活後も、年間製造数を全シリーズ合計で2000本を超えないよう調整するなど、エクスクルーシブ性と高品質を固守。生産される製品のうち、1/3はオートクチュールだと言われている。

 

そしてロールス・ロイス ボート・テイルには、ボヴェが手掛けたペアウォッチが“標準搭載”される。男性用・女性用とそれぞれデザインが異なるトゥールビヨンは、ボヴェが特許を取得している“アマデオ”ケースシステムを採用。リバーシブルで使用できるうえ、ときには腕時計、ときには懐中時計、ときにはテーブルクロックとしても使用できる。もちろんロールス・ロイスの車載クロックとしても。

 

ロールス・ロイス ボート・テイルのボヴェ製クロック。腕時計の状態(裏面)。紳士用

ロールス・ロイス ボート・テイルのボヴェ製クロック。リバーシブル仕様になっていて、紳士用の裏側の文字盤にはオーナーの生まれた場所、生まれた日の夜空に浮かんでいた星座がデザインされている。

 

ボート・テイルと同じウッドパネルを使用

 

ケースは18Kのホワイトゴールド製で、文字盤にはボート・テイルのリヤデッキと同じウッドパネルを使用。男性用はシンプルな磨き仕上げとし、女性用は装飾的な彫刻をあしらう。また、所有者の名前を刻印することも可能だ。

 

裏面の文字盤は、微細な結晶を内包する煌びやかなアベンチュリン仕様。オーナーが生まれた場所、生まれた日の夜空の星座を配列しデザインしている。女性用の文字盤はマザーオブパール製で、ボヴェが得意とする華麗な花の絵柄を採用。いずれもオーナーそれぞれに合わせてモチーフを厳選するという。

 

ロールス・ロイス ボート・テイルのボヴェ製クロック。懐中時計の状態。女性用。

ロールス・ロイス ボート・テイルのボヴェ製クロック。写真は女性用を懐中時計として使ったときの例。トゥールビヨンを支えるスピリット・オブ・エクスタシーも、もちろん職人の手による彫刻作品。

 

自動車部品としての性能も追求

 

また、車載クロックとして使用する性質上、特別な要件も求められた。たとえば複雑な機構を有する機械式時計を製作する際、重量が問題視されることはさほどない。しかし今回は違う。与えられた要件を満たすべく、ボヴェは新たに44mmのホワイトゴールド製ケースを製作。また、自動車特有の振動や、万一の衝撃に備えた安全性能を確保すべくテストが繰り返された。

 

さらに衝撃を考慮してボールベアリングではなくピボット軸受けを使用。バランスホイールの重量を増やしたうえ、振動数を高めることで精度を向上している。加えて5日間のロングパワーリザーブも実現した。

 

ロールス・ロイス ボート・テイルのボヴェ製クロック用マウント。レンダリング

ロールス・ロイス ボート・テイルは、ボヴェ製クロックを車両に配置するための専用マウントを用意。時計を振動から守るとともに、万一の際の安全性も考慮して設計された。

 

専用のマウント機構を白紙から開発

 

クロックを支持する車両側のホルダーも白紙の状態からデザインする必要があった。そもそも揺れや騒音の少ないロールス・ロイスとはいえ、検知できない微細な振動というものは常に存在する。そのため、ボヴェのエンジニアとロールス・ロイスのデザインチームは互いにアイデアとノウハウを提供しあい、貴重なタイムピースを微細な振動から守るための複雑にして精巧なマウント機構を編み出した。脱着の際も静かに、簡単に操作できるよう配慮したのはもちろん、顧客が愛車の時計を安全かつ安心に使うことができるように設計した。

 

ダッシュボードのクロック下には特別な引き出しも用意。ボート・テイルのシートと同じレザーをあしらった収納スペースには、時計やストラップ、チェーン、ネックレスをしまっておくことができる。

 

ロールス・ロイス ボート・テイルのリヤビュー

ロールス・ロイスが3人のオーナーのために特注したボート・テイル。世界に3台だけのクルマのために、スイスの名門ボヴェはたった6個のタイムピースを特別に作り上げた。

 

ちなみに、ボート・テイル専用ボヴェは、デザインから彫刻、絵柄、細工、ムーブメントやケースの製造などを含めて、完成までに3000時間を要するという。完全特注のロールス・ロイス ボート・テイルの車両価格は明らかにされていないものの、十億円を上回るのは間違いなしと言われている。ダッシュボードを飾る時計ひとつとっても、これだけ気の遠くなるようなこだわりが凝縮されているのだから、納得の価格といえるのかもしれない。

 

 

【SPECIFICATION】

ロールス・ロイス ボート・テイル ボヴェ製車載クロック

・ムーブメント

ビスポークのトゥールビヨン、手巻き

コンポーネント:284個(ダイヤルとハンズを除く)

パワーリザーブ:5日間

振動数:2万1600vib/h

 

・ケース

素材:18Kホワイトゴールド、アマデオ・コンバーチブルシステム(リバーシブル仕様。チェーン付き懐中時計/ネックレス付きペンダント/テーブルクロック/ダッシュボードクロックとして使用可能)

直径:44mm

厚さ:14mm

 

 

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