エンスージアスト究極の夢! ワンオフモデル「フェラーリ P80/C」に迫る【Playback GENROQ 2019】

公開日 : 2021/06/14 17:55 最終更新日 : 2021/06/14 17:55

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フェラーリ P80/Cのフロントスタイル

Ferrari P80/C

フェラーリ P80/C

 

 

ワンオフ・スペチアーレ再び

 

自分だけの1台が欲しい。クルマ好きであれば、一度はそのような夢を思い描くだろう。フェラーリは以前から、その夢を実現できる顧客のためにワンオフモデルを造りだしてきた。P80/Cはフェラーリが送り出す、サーキットユース専用の最新ワンオフモデルである。

 

フェラーリ P80/Cの走行シーン

フェラーリ P80/Cの走行シーン。ミッドに搭載されるV8エンジンのスペックなど詳細は発表されていないが、見た限りではやはり488GT3との共通点が多いようだ。

 

「フェラーリカスタマー、究極の夢“ワンオフモデル”」

 

フェラーリのカスタマーにとって究極の夢といえば、それは自分自身のためだけに製作された、ワンオフモデルのオーナーとなることだろう。フェラーリはかつて、魅力的なボディを製作するカロッツェリアとともに、さまざまなワンオフモデルをカスタマーのもとに送り届けていた。それらの多くはコレクターズアイテムとして、オークションなどで高値で取り引きされていることは周知のとおり。もちろん現在生産されているワンオフモデルも、その製作に必要な予算は相当に大きな数字になる。

 

今回発表されたのは、「P80/C」と呼ばれるもので、そのシルエットからは現行モデルの488がベースであることが予想できるかもしれない。正確には488がベースとなるコンペティションモデルの488GT3がそのベースで、さらにホイールベースが50mm延長されている関係で、前後方向の優雅な、そして優秀なエアロダイナミクスを予感させるボディデザインが実現されているのが特徴だ。フェラーリによればそのデザインには、かつてのレースシーンで、プロトタイプカークラスで大活躍したP3/P4や、250LMなどがモチーフとして採り入れられているという。しかし実際に見るそれは、決してそれらのモチーフから過去の栄光を懐かしむものではなく、むしろ488GT3の正常進化型といった印象を受ける、実に美しい機能美を感じさせてくれるものだ。

 

フェラーリ P80/Cのストリップモデル

ボディパネルはカーボン製で、フロントとリヤセクションは一体構造となっているため、整備性も高い。カウルを外した姿はまさにレーシングマシンだ。

 

「サーキット専用車だからこそ実現した美しいスタイル」

 

現在では、「フェラーリ・ワンオフ・プログラム」として、正式にフェラーリのビジネスとして進められているワンオフモデルの製作だが、かつては同様のモデルが表舞台に出ることなく、フェラーリからそのままカスタマーへと送り届けられることもあった。多くのモデルはその存在が知られているものの、そうでないものは、今後それがいつどのように姿を現すのかも気になるところなのだが、今回のP80/Cは、最初からかなりの情報を明らかにしたワンオフモデルといえる。

 

前で触れた50mmのホイールベース延長は、コーナリングはもちろんのこと、ストレートでのスタビリティを考えてのものであることは確かだが、ならばこのモデルはオンロードでの使用も可能なのかといえば、それは残念ながら違う。P80/Cはサーキット走行専用モデルで、オンロードやレースのいずれのレギュレーションをも満たす必要がない。だからこそ、このような美しいボディスタイルが生み出されたともいえる。ボディ素材はカーボンファイバーで、リヤカウルにはアルミニウム製のルーバーが備えられている、リヤの巨大なウイング、そしてディフューザーもリヤセクションでの大きな特徴だが、同時にリヤサイドウインドウの部分で大きく沈む込むウインドウグラフィックも、ベースの488GT3とは異なるもので興味深い。

 

フェラーリ P80/Cのコクピット

488GT3と共通イメージのコクピット。ステアリングの形状はサーキット専用マシンならではだ。

 

「488GT3をベースとするレースに特化したコクピット」

 

一方コクピットは、基本的には488GT3のそれと共通するデザイン。ただしシートはドライバー用とパッセンジャー用の2脚が装備され、そのいずれにも6点式のシートベルトが装備されている。液晶パネルを使用したメーターや各種スイッチはどれも機能的で、カスタマーはそれを駆使して積極的にサーキット走行を楽しむことが可能になる。

 

ミッドに搭載されるエンジンは、もちろん488GT3がベースだが、そのスペックはフェラーリからは発表されなかった。レギュレーションを考慮しなくてもよいということを考えれば、ある程度のエクストラが与えられていることにも期待したいのだが、エンジンチューニングを望むか望まないかもまた、カスタマー自身が決定することであり、フェラーリはその考えを最優先する。

 

フェラーリ P80/Cのリヤスタイル

ディフューザー周りの造形はまるでフォーミュラマシンのようだ。ダウンフォースの量は一般モデルの比ではないだろう。

 

「これからもフェラーリ・ワンオフ・プログラムに注目したい」

 

フェラーリのワンオフ・プログラムからは、これからもさらに多くのモデルが生み出されることだろう。わずかに1台だけの、そして自分のためだけのフェラーリ。それがいかに価値あるものなのかは、フェラーリのカスタマーのみならず、ファンならば、誰もが理解できるだろう。

 

 

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
PHOTO/Ferrari S.p.A

 

 

※GENROQ 2019年 6月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

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