8台目フォルクスワーゲン ゴルフを雨中で振り回す! MHEVを得て「世界のベーシック」はどのように進化したか?

公開日 : 2021/06/24 17:55 最終更新日 : 2021/07/07 17:35

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フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI R-Lineの走行シーン

Volkswagen Golf

フォルクスワーゲン ゴルフ

 

 

揺るぎない自信

 

世界のCセグメントのリーダーであり続けるVWゴルフが8代目へと進化を遂げた。ゴルフ初のマイルドハイブリッドシステムや最新のインフォテインメントシステムを新たに採用することで、ライバル達をさらに引き離すことに成功している。

 

フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI R-LineとeTSI Activeのフロントスタイル

8世代目となるフォルクスワーゲン ゴルフ、国内に導入されたのは1.0直3ターボを搭載する「eTSI アクティブ(写真左)」と「eTSI アクティブ ベーシック」、1.5リッター直4ターボを採用する「eTSI スタイル」と「eTSI Rライン(写真右)の4車種。

 

「実質的なサイズ感は先代のゴルフ7からほぼ変化のない新型」

 

通算8代目となる新型ゴルフ=ゴルフ8だが、パッケージレイアウトやエクステリアデザインの変化は小幅といえば小幅だ。ボディサイズでも最も目立つのは30mm増えた全長で、全幅や全高は5~10mmの変動にすぎず、その変動は縮小方向のそれ。つまり、実質的なサイズ感は先代のゴルフ7からほぼ変化はない。

 

エクステリアデザインにしても、余計なプレスラインをなくした処理や最新技術を採用した灯火類こそ新しいものの、基本プロポーションはゴルフそのもの。ドラポジや後席、荷室といった室内レイアウトがゴルフ7と酷似しているのは、今回の骨格設計が従来のMQBをベースに主に電装系を強化した改良型だからだ。

 

フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI R-Lineのインテリア

10インチのデジタルメータークラスターと標準装備の10インチタッチスクリーンで構成される最新のインフォテイメントシステムを採用。

 

「コクピットのインターフェイスが衝撃的なほど新しいのがゴルフ8」

 

・・・と、スタイリングやレイアウトのアップデートにさしたる驚きがないのに対して、コクピットのインターフェイスが衝撃的なほど新しいのがゴルフ8だ。バイワイヤー化されたシフトセレクターは指先だけで操作できるほど小さくなった。スイッチの類は、その数が激減しただけでなく、その大半がタッチパネル(もしくは指でなぞるタッチスライダー)化された。メーターパネルが全車カラー液晶になったのはゴルフ7から続く想定内の変遷だが、センターディスプレイから左端のランプスイッチまで一体のタブレット風に見せる意匠は、いかにも今っぽい。

 

ただ、インテリアにおける鬼気迫るほどの作り込みや高級感や質感への執着・・・といった、これまでの特徴が薄れたきらいがあるのは否定できない。「デジタル化」されたインテリアには、従来のような分厚いソフトパッドや繊細なメッキによる質感表現がなじみにくいのは事実だろう。また、そうした質感表現に割かれていたコストが、今回はデジタル化や後述するパワートレインの「電動化」にあてられた側面もあろう。

 

フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI R-Lineのエンジン

エンジンは1.5リッター直4ターボ(150ps/250Nm)と1.0リッター直3ターボ(110ps/200Nm)の2種類を設定する。いずれもMHEVが組み合わされる。

 

「全車が電動化パワートレインになることも、ゴルフ8の新しさである」

 

ひとまず国内発売されたゴルフ8は、モデルライフを通じての売れ筋となりそうな直噴ガソリンターボ2機種。ゴルフ7時代から搭載されている1.5リッター4気筒と、日本では初登場(にして弟分のポロでおなじみ)の1.0リッター3気筒である。さらに今回はそこにベルト駆動の48Vマイルドハイブリッド(MHEV)機構が組み合わせられる。つまり、全車が電動化パワートレインになることも、ゴルフ8の新しさである。

 

パワートレインのデキはちょっとしたものだ。滑らかなアイドルストップ所作はいかにもMHEVだが、ゴルフ8では走行中にスロットルから足を離すと、エンジン停止して惰性走行する「eコースティング」に移行する。実際に走っていても頻繁にコースティング状態に入り、アクセルやブレーキを操作すれば即座に再始動を繰り返すのだが、その行き来も意識していないと気づかないほど滑らかだ。機構上モーター走行はできないが、頻繁にエンジン停止をしながら走る感覚は、日本のフルハイブリッドにちょっと似ている。

 

フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI R-Lineの走行シーン

筆者は「ゴルフ7以来の上質なフットワークは、局部剛性やフリクションを徹底排除したと思しきゴルフ8で、いよいよ完熟・完成の域に達した感がある」と絶賛。「世界のベーシック」と称えられてきたゴルフの面目は8代目にいたっても保たれている。

 

「MQBが継続採用となったシャシーはまさに熟成の味だ」

 

1.5リッターが十二分にパワフルなのは当然として、日本のゴルフでは初出の1.0リッターも実用上は十分な性能がある。エンジン音はいかにも3気筒らしい音質だが、意外なほど静かで滑らかなのは、MHEVの恩恵もあるだろう。MHEVの燃費向上効果は市街地で10%、高速で5%程度だそうだが、欧州ではめずらしくないCセグメントの「リッターカー」も、今の日本では国産車も含めてゴルフ8くらいしか例がない。リッターカーの自動車税のお得さを考えると、1.0リッターであること自体も、ゴルフ8の大きな武器になりそうだ。

 

MQBが継続採用となったシャシーはまさに熟成の味だ。フラットに姿勢を保ったままバネ下だけでさばく・・・というゴルフ7以来の上質なフットワークは、局部剛性やフリクションを徹底排除したと思しきゴルフ8で、いよいよ完熟・完成の域に達した感がある。専用に引き締められたスポーツサスを持つ「Rライン」が、乗り心地でも現時点でベストゴルフ8・・・というべきデキなのも、その表れといっていい。

 

そんなフットワークに優秀なスポーツシートも標準となるRラインが、同じ1.5リッターの「スタイル」のわずか5万円高なのだから買い得感は高い。ただ、これら1.5リッターのゴルフにナビやヘッドアップディスプレイなどの装備パッケージを追加すると、価格は400万円を超える。クルマはどんどん高くなるなあ・・・とタメ息が出るのも事実だけれど。

 

 

REPORT/佐野弘宗(Hiromune SANO)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)

MAGAZINE/GENROQ 2021年 8月号

 

 

【SPECIFICATIONS】

フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI Rライン〈eTSI アクティブ〉

ボディサイズ:全長4295×全幅1790×全高1475mm
ホイールベース:2620mm
車両重量:1360〈1310〉kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ〈直列3気筒DOHCターボ〉
総排気量:1497〈999〉cc
最高出力:110kW(150ps)/5000-6000rpm〈81kW(110ps)/5500rpm〉
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpm〈200Nm(20.4kgm)/2000-3000rpm〉
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク〈トレーリングアーム〉
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ:前後225/45R17〈205/55R16〉
車両本体価格:375万5000円〈312万5000円〉

 

 

【問い合わせ】
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
TEL 0120-993-199

 

 

【関連リンク】

・フォルクスワーゲン 公式サイト

https://www.volkswagen.co.jp