アウディが海洋汚染の進行を防ぐ? タイヤ滓を路面から排除する新技術を開発

公開日 : 2021/07/03 11:55 最終更新日 : 2021/07/03 11:55

アウディ環境財団が開発しているアーバンフィルター

環境に負担をかけるゴムの微粒子

 

海洋を漂流するマイクロプラスチックが世界的に大きな問題となっている。その種類は非常に多様だが、最近の研究ではタイヤなどのゴムから生じる粒子が原因のひとつであることが明らかになった。ゴムの粒子は大気中を浮遊して海に運ばれたり、雨水によって河川や下水道に流れ込む可能性がある。

 

アウディの推定によると、ドイツ国内だけで、1年間に路上で発生するマイクロプラスチックの総量は11万トンにのぼる。微粒子の発生源は自動車のタイヤだけでなく、自転車やスケートボード、そして靴のソールなど多岐にわたるという。それらすべてを排除することは現実的に難しいとしても、「それでもマイクロプラスチックによる汚染を事前に少しでも抑え込むために、我々にできることはある」とアウディ環境財団のマネージングディレクター、リュディガー・レクナゲルは語る。

 

道路上の堆積物を“その場で”ろ過

 

水資源を保護する複数のプロジェクトを推進しているアウディ環境財団が、現在開発しているのが「アーバンフィルター(URBANFILTER)」だ。ベルリン工科大学と協力して、都市部の雨水に合わせた堆積物除去フィルターを作り、道路上で発生したマイクロプラスチックを“その場で”取り除いていこうという試みだ。3年半計画のプロジェクトとして2020年9月に発足し、現在はフィルターメーカーやソフトウェアデベロッパー、水道事業者なども参画している。

 

「アーバンフィルター」は9個のフィルターで構成されるモジュラーシステムをもつ。渋滞の多い道路や交差点といったストップ&ゴーが何度も繰り返される箇所、その一方で比較的交通量の少ない直線路など、微粒子の発生具合は交通環境によって異なる。そのため、モジュラーシステムによりそれぞれの状況に合わせて最良の除去効果を発揮できるようにするという。

 

アウディ環境財団が開発しているアーバンフィルター設置場所イメージ

アウディ財団は、目下問題視されているマイクロプラスチック汚染を解決する一助として、都市部の道路に設置するフィルターを開発している。路面に堆積するタイヤ滓やゴミなどをその場でろ過するための仕組みを構築する。

 

タバコの吸い殻や木々の葉っぱも

 

フィルターシステムは路面に接する最上段と、比較的大きな物質をキャッチする2段目、そして最終的に細かな微粒子をろ過する3段目と、大きく分けて3層で構成。最下部にはマグネットを用いて粒子を捕捉する方法が試されている。アウディ環境財団で「アーバンフィルター」の責任者を務めるヨアヒム・ヴロカは次のように説明している。

 

「加えて、路面に堆積する他の汚染物質についても、できる限り捕捉したいと考えています。残念なことに歩道にしばしば投げ捨てられている飲み物の缶やタバコの吸い殻、それに木々が落とす花粉や葉っぱ、砂のような自然由来のものまで想定しています」

 

2021年末までに実証実験をスタート

 

フィルターのメインテナンス及び堆積物の回収については、コネクティビティ技術の出番である。道路清掃スケジュールや交通量、ラッシュアワー時間、登校・帰宅時間、天気予報や街路樹の多寡、犬を散歩させる人が多いかどうかなど、ありとあらゆる情報を総動員して最適な回収タイミングを決定するそうだ。

 

「アーバンフィルター」は現在研究段階にあるが、2021年末までには実社会での検証を開始する予定であるという。

 

 

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