三浦 愛選手、TCRジャパンシリーズに初参戦! いきなりポールポジションを獲得したレースを本人が振り返る

公開日 : 2021/07/09 11:55 最終更新日 : 2021/07/09 11:55

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三浦 愛選手、TCRジャパンシリーズに初参戦、レースシーン

TCRジャパンシリーズ第2戦(オートポリス)レポート

 

全日本スーパーフォーミュラ選手権のレポートを『GENROQ Web』にて連載中の三浦 愛選手が、本職のレーサーとしてTCRジャパンシリーズに参戦。このレースは2.0リッター以下のターボエンジンを搭載したFWD車をベースとする、4ドアまたは5ドアの新世界基準マシンを使用したもので、2015 年の創設以降、世界各地で人気を博している。

 

TCRはジェントルマンドライバーが価格と性能がバランスした「純レーシングカー」によるハイレベルなモータースポーツを繰り広げ、ヨーロッパはもとより、近年ではアジア各国及びアジア選手権も設定され、日本国内では2019年より開催されてきた。ここでは三浦 愛選手によるTCRジャパンシリーズの初参戦の模様をインサイドレポートとしてお届けする。

 

三浦 愛選手、TCRジャパンシリーズに初参戦、レースシーン

全日本F3選手権の優勝など、レーシングドライバーとしてのキャリアはもちろん、レースレポーターとしても活躍中の三浦 愛選手。今回はTCRジャパンシリーズにTCR CIVICにて初参戦を果たした。

 

解説者からドライバーへ・・・三浦 愛選手、初参戦

 

2020年より解説者として携わらせていただいているTCRジャパンシリーズへの参戦が決まったのはレース2週間前のこと。私自身、解説の幅を広げるため関係者の方々には以前から試乗がしたいと話していたのですが、まさかレースに参戦するとは・・・。この世界、本当に何があるかわからない。

 

ドライバーのお仕事は様々ですが、走る事を本業としている現役ドライバーである限り、数少ないシートを獲得しパフォーマンスを発揮してこそ自分の価値を見出せるのではないかと思うので、夢や目標を口にするということが実現への第一歩なのだなと改めて感じることとなりました。

 

前述の通り、参戦が決まったのはレース2週間前。急ピッチで準備が進められ、無事レースウィークを迎えることができました。週末の流れとしては、木曜日から走行を開始し2日間でトータル2時間半、様々なテストを行いマシンのセットアップをします。土曜日の午前中にSaturdayシリーズ、Sundayシリーズの予選(15分×2回)がインターバル10分を挟み連続で行われ、午後にはSaturdayシリーズの決勝が行われます。そして、日曜日の午前中にSundayシリーズの決勝という流れでスケジュールが進んでいきます。

 

三浦 愛選手、TCRジャパンシリーズに初参戦、レースシーン

レースの2週間前に急遽参戦が決まり、ほぼぶっつけ本番で臨んだオートポリス。TCR CIVICのステアリングを握るのは初めてで、しかも予選はウェット路面とコンディションは最悪。にも関わらず、土日で2開催される決勝のうち、日曜日のポールポジションを勝ち取った。

 

ぶっつけ本番に加え悪天候の中で日曜日のポールポジションを獲得

 

決勝レースの長さは時間で決まっており、土日ともに20分+1周となっています。スポーツランドSUGOのような短いサーキットでは1周のタイムが1分30秒前後、鈴鹿サーキットでは2分15秒前後となりコース距離や天候によって周回数は左右されますが、10~16周程度のスプリントレースで、時には体当たりのようなバトルを見られるのがTCRシリーズの特徴です。

 

私が参戦したオートポリス大会は、木金のフリー走行がドライコンディション、土日の予選決勝がぶっつけ本番のウェットコンディションという嫌ぁ~な展開に・・・。FF車両は以前にもMINIチャレンジというレースで経験したことがありましたが、初めてのTCRマシン(今回はホンダCIVIC)とスリック&ウェットタイヤに困惑しながら初めて尽くしの週末を過ごすこととなりました。

 

いろんな不安を抱えながらも「なんとかなる」と思えてしまうのが私の良い所であり悪い所なのですが(笑)今回はチームの皆さんに助けられ、晴れのフリー走行でトップタイム、大雨の予選でもギリギリ合わせ込むことができSundayシリーズのポールポジションを獲得することができました。

 

三浦 愛選手、TCRジャパンシリーズに初参戦、レースシーン

小柄な三浦 愛選手だが、TCR CIVICはベストなドライビングポジションを提供。体格のハンデを克服してレースに挑むことができた。TCR CIVIC最大の武器であるローンチストラテジの威力も炸裂し、最後列スタートから一気のごぼう抜きを見せる。

 

TCR CIVIC最大の武器“ローンチストラテジ”とは?

 

私のような153cmという規格外な体型のドライバーがベストなドライビングポジションを得ることはなかなか難しいのですが、今回私が乗せていただいたCIVICに関してはメカニックの皆さんのおかげで何のストレスも無く走ることができました。ドライビングポジションは安全且つ速く走るために重要な要素ですが、今回の経験により小柄な方でもベストポジションでTCRのハイパワーなマシンを楽しんでいただけることがわかりました。

 

Saturdayシリーズ決勝コースイン時の路面上は「川」だらけ。走っちゃいけないレベルの大雨だったと記憶していますが、なんと通常運行のスタンディングスタートでレースが始まりました。私は急遽参戦が決まりエンジン交換を行っていたためこのレースは最後列からのスタートでしたが、TCR CIVIC最大の武器である“ローンチストラテジ”の威力を発揮しいきなり2台ごぼう抜きすることができました。

 

“ローンチストラテジ”とは、完全に停止している車両が発進する際にエンジン回転数を自動制御しホイールスピンを減らす“ローンチコントロールシステム”を疑似的に再現したもので操作手順を覚えるのが少し大変ですが、一度覚えてしまえば路面のμが低いウェットコンディション等ではかなり有効なアイテムとなりました。

 

三浦 愛選手、TCRジャパンシリーズに初参戦、レースシーン

怒涛の追い上げから2位までポジションアップしたものの、前走車があげる水しぶきによる視界不良などで最後の一歩が届かず2位でフィニッシュ。悔いの残る結果となった。

 

雨中のサバイバルレースで表彰台をゲット

 

そして、レースはオープニングラップからスピンやコースアウト続出のサバイバルレースに・・・。私はなんとか踏み止まり2位まで順位を上げトップを追走していましたが、前車との距離が近づくほど水しぶきで視界が悪くなり、トップ車両と比べてストレートスピードが大幅に負けていたため結局パッシングには至らず初戦を2位で終えました。私は今までフォーミュラ等、同じメーカーのシャシーで戦うレースが多かったので、様々なメーカーのマシンがそれぞれに違った特色を持って共に戦うTCRの難しさを痛感しました。

 

悔しさが残る中、翌日に行われるはずだったSundayシリーズは天候不良のため延期。三浦 愛のポールポジションは幻に・・・。正直とてもモヤモヤしましたが、誰が見ても雨と霧で危険な状況だったのでこればっかりは仕方ないですね。ちなみに、延期となったレースは第3戦の菅生ラウンドに持ち越されるようです。

 

三浦 愛選手、TCRジャパンシリーズに初参戦、レースシーン

土曜日の決勝は2位に入った三浦 愛選手(写真左)。悪天候のためポールポジションを得ていた日曜日の決勝は残念ながら中止に。しかし、TCRジャパンシリーズ初参戦は多くの糧をもたらしたと筆者は語る。

 

ドライバーとしての経験を積み解説者としても成長を実感

 

今回の参戦を通じて、ドライバーとしても解説者としても幅が広がったのではないかなと思います。こうして走り続けられることがドライバーとしての幸せでもあり、経験したからこそ伝えられることがたくさんあると思うので、これからもモータースポーツの魅力を発信していけるようなチャレンジを続けていきたいです。

 

 

REPORT/三浦 愛(Ai MIURA)

PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

 

 

【プロフィール】

三浦 愛

12歳よりレーシングカートで数多の勝利を重ね、FIAソーラーカーレースでの優勝も経験。2001年のSL名阪 最終戦 FP3-Fクラスでの優勝を皮切りに、Rotax Maxなどでの参戦を経て2011年にはスーパーFJのシートを獲得し、フォーミュラチャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権などでも優勝を果たしている。

 

 

【レーススケジュール】

TCRジャパンシリーズ

第3戦:7月24日(土)~25日(日) スポーツランドSUGO

 

 

【関連リンク】

・TCRジャパンシリーズ 公式サイト

http://tcr-japan.jp/

 

 

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