先行きが見通せないリスクを抱えながらも電動モデルが需要を牽引

コロナ禍と半導体不足の中で新車販売はどうなったのか? メルセデス・ベンツ編

2021年1月から9月にかけて好調を記録した、メルセデス・ベンツ EQA
2021年1月から9月にかけて好調を記録した、メルセデス・ベンツ EQA
メルセデス・ベンツが、2021年1月から9月の販売台数を発表。主要モデルに加えて、メルセデス・マイバッハ、メルセデスAMG、EQAやEQCなどの電動モデルに対する需要が堅調に推移したことで、前年同期比3.0%増となる161万7508台を記録した。

2021年1月から9月の販売台数は堅調に推移

2021年1月から9月にかけて好調を記録した、メルセデス・ベンツ Sクラス
自動車業界全体が世界的な半導体供給不足に悩まされる中、メルセデスは新型Sクラスや電動モデルが堅調な需要を維持している。

2021年1月から9月にかけて特に好調な販売台数を記録したのは、中国での大幅な需要拡大により販売台数が増加した新型Sクラスで、前年同期比45%増となる6万2306台をデリバリー。半導体の供給不足が深刻化した第3四半期においても好調が維持された形だ。

メルセデス・AMGモデルは11万6394台(30.6%増)、Gクラスが3万1637台(29.6%増)、メルセデス・マイバッハが1万807台(41.8%増)と好調に推移。新たにメルセデス・マイバッハ Sクラスが導入されたことで、メルセデス・マイバッハの販売台数も第3四半期に86%増と急増した。

それでも一部の半導体パーツの世界的な供給不足により、第3四半期、特に9月はカスタマーへのデリバリーに影響が生じることになった。メルセデス・ベンツは堅調なオーダーに応えられるよう最大限の努力を続けているが半導体チップの供給状況は不安定な状況にあり、この供給不足は第4四半期おいても生産と販売に影響を及ぼすと予想されている。

電動モデルが前年同期比142.7%増の大躍進

2021年1月から9月にかけて好調を記録した、メルセデス・ベンツ EQA
ハイブリッドモデルを含む電動モデルが142.7%と大幅増。特にフルEVのEQAやEQCが好調なデリバリーを記録した。

ハイブリッドカーと電気自動車の販売台数は過去最高の18万4369台(142.7%増)と急増。メルセデス・ベンツ EQCは1万7938台、EQAは1万3021台を販売。ゼロエミッション車に対する旺盛な需要により、過去最高の販売台数を達成した。なお、電動ラインナップのフラッグシップモデル「EQS」が8月から投入されている。

ダイムラーAGとメルセデス・ベンツAGの販売担当取締役のブリタ・シーガーは、EQSの投入によってさらにEVの販売台数が増加すると予想している。

「EQSについては8月に販売を開始したばかりですが、非常に好調な受注を獲得しています。また、ミュンヘンで開催されたIAAにおいて公開したEQEも、ジャーナリストやメディア、販売店、お客様から非常に高い評価を頂いています。EV時代になっても、メルセデス・ベンツへの需要は途切れることを知りません」

メルセデスの最多販売地域は中国市場に

2021年1月から9月にかけて好調を記録した、メルセデス・ベンツ Sクラス
欧州での販売台数が減少を記録する一方、アジア太平洋地域、特に中国市場では大幅な販売増を記録している。

地域別では、アジア太平洋地域におけるメルセデス・ベンツの販売台数が1月から9月までの累計で過去最高となる78万8713台(5.6%増)を記録。特に中国市場では国別で最多となる59万2203台(4.0%増)が販売された。北米は24万8086台(8.6%増)、そのうち米国では21万5776台(9.6%増)を販売。一方、ヨーロッパは52万8180台(3.5%減)と前年同期よりも減少を余儀なくされた。

第3四半期(7月〜9月)は、全世界で42万8361台を販売(30.2%減)。この期間からモデルが切り替わったSクラスは2万3600台がデリバリーされた(48.1%増)。この期間、メルセデス・ベンツの単一モデルとしては、SUVのGLCが最多販売を記録、Eクラス・セダンがそれに続いている。

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