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Renault / TheArsenale AIR4
1961年の登場以来、世界中で愛された“キャトル”
初代ルノー 4(キャトル)は1961年から1992年にかけて製造された、シンプルで多用途性に富んだコンパクトカー。元ルノー・グループ代表のピエール・ドレフュスは、このモデルを「ブルージーンズ」と表現したほど。ルノー 4は、家族から企業、警察や郵便局まで、あらゆる人や荷物を運ぶと同時に、何世代にもわたって若いドライバーが最初にステアリングを握る愛車でもあった。
30年以上の生産期間中に100ヵ国以上で800万台以上を販売したルノー 4は1961年のデビューから60周年を迎え、ルノーは2021年の年間にわたって様々なイベントを開催してきた。そのフィナーレを飾るべく、ルノーはデザインスタジオ「TheArsenale」と協力し、ルノー 4を未来的かつオフビートに再解釈したショーカー「AIR4」を製作した。
障害物のない空を自由に駆け回る「AIR4」
今回、ルノーとTheArsenaleは、ルノー 4が持つ“ソウル”を活かしつつ現代的に解釈。AIR4は「たとえ交通量が増えても、空には何の障害もない」というアイデアから生まれ、自立と自由を象徴する存在として開発された。AIR4は、空を未来の新しい道路として主張している。
カーボンファイバー製ボディを持つAIR4は、お馴染みのラインと形状を踏襲しながらも、推力や揚力など「空を舞台とする」コンセプトを実現するために完全に新規設計された。何時間にもわたって行われたジェネレイティブ・デザイン技術と人工知能(AI)を用いた演算とテストにより、膨大なデータを収集。そのすべてが慎重にモデル化され、さらに分析を加えることで空中飛行するためにデザインが微調整された。
ルノー・ブランドのグローバル・マーケティングディレクターを務めるアルノー・ベローニは「AIR4」について次のようにコメントした。
「1年間のお祝いの後、ルノー 4の60周年を締めくくるために何か型破りなものを作りたいと思いました。今回のTheArsenaleとのコラボレーションは、自然な流れで実現しました。空飛ぶショーカーのAIR4は、この象徴的なモデルの60年後の姿を示唆したものです」
2021年末までシャンゼリゼのアトリエ・ルノーに展示
AIR4はタイヤの代わりに2枚のブレードを持つローターを車体の4隅に4基ずつ装備。ボディはローターフレームの中央に位置し、ドライバーはフロントヒンジ付きのシェルを持ち上げてキャビンにアクセスする。
2万2000mAhのリチウムポリマーバッテリーを搭載し、総出力は約9万mAh。水平方向の最高速度は26m/s、飛行中の傾斜角は45度、最大傾斜各は70度。ローターの垂直方向の推力は1基95kgで合計380kgを実現し、安全上の理由によって離陸速度は14m/s、着陸速度は3m/s、最大到達高度は700mに制限されている。
AIR4は、未来の交通網が空にあることを想定した、TheArsenaleの「ROAD TO AIR」部門が手掛けた最初の製品。フランスのコート・ダジュールに位置するヨーロッパ初のテクノロジーパーク「ソフィア・アンティポリス」の中心部にあるTheArsenaleのファクトリーにおいて、構想、設計、エンジニアリング、組み立てのすべてが行われた。
デジタルプレゼンテーションで初披露された後、2021年末までパリ中心部のシャンゼリゼ通りにあるアトリエ・ルノーで、「AIR4」は歴代ルノー 4とともに一般公開される。2022年にはマイアミ、ニューヨークを経て、マカオでも展示を予定している。