ポルシェがロサンゼルス・オートショーで「911 ダカール」をワールドプレミア予告

砂漠や寒冷地も走れるオフロード仕様「ポルシェ 911 ダカール」がデビュー間近

「ダカール」のネーミングが与えられ、過酷な砂漠を走破する911初のオフロード仕様「911 ダカール」。
「ダカール」のネーミングが与えられ、過酷な砂漠を走破する911初のオフロード仕様「911 ダカール」。
ポルシェは、2022年11月16日に開幕するロサンゼルス・オートショーにおいて、992型911のオフロード仕様「911 ダカール」をワールドプレミアする。ポルシェ初のオフロード走行可能な2ドアモデルとなる911 ダカール、そのテストの様子が公開された。

Porsche 911 Dakar

1万km以上のオフロードテストを実施

南フランスのシャトー・ラストゥールのグラベルコースを走行する、ポルシェ 911 ダカール。
ポルシェは、同社初の2ドア・オフロード仕様「911 ダカール」のために、1万km以上のオフロードを含む、50万kmもの過酷なテストプログラムを実施した。

「911 ダカール」のネーミングは、1984年にポルシェとして初めて4輪駆動システムを搭載した953(のちの959)が、レネ・メッジのドライブで優勝したことから名付けられた。

プロジェクトマネージャーのアキム・ランパータを中心とする開発チームは、ヴァイザッハのオフロードテストトラックでの集中的なテストだけでなく、道なき道を求めて世界中で走行を行っている。

今回、1万km以上のオフロード走行を含む、50万km以上ものテストプログラムを実施。WRC(世界ラリー選手権)チームのグラベルテスト地としておなじみ、南フランスのシャトー・ラストゥールでは、典型的なラリーコースでにおけるハンドリングテストと、サスペンションのセットアップが行われた。何kmも続く厳しいグラベル路面は、911 ダカールに厳しい負荷を与えることになった。

当初、ポルシェのワークスドライバー、ロマン・デュマはシャトー・ラストゥールで911をドライブすることに戸惑いを感じたという。しかし、走行後すぐに、911 ダカールのオフロード性能への賞賛へと変わった。剛性を高めたシャシー設計と、引き上げられたライドハイトのおかげで、ちょっとしたジャンプさえもこなしてしまう。さらに、デュマは華麗なグラベルドリフトも披露している。

「WRCはもちろん、ダカールラリー参戦チームは、厳しいグラベル路でマシン鍛えるため、ここシャトー・ラストゥールにくるのです。911が一般的な舗装路で走ってくれることは理解していましたが、オフロードでもこれだけ優れたパフォーマンスを発揮してくれたことに、心から驚きました」

寒冷地を舞台にバルター・ロールがドライブ

スウェーデンのアリエプローグで寒冷地テストを行う、ポルシェ 911 ダカール。
寒冷地テストを担当したのは、ポルシェのブランドアンバサダーであり、WRCチャンピオン経験を持つバルター・ロール。

2度のWRCドライバーズチャンピオン、バルター・ロールは、スウェーデンのアリエプローグ(Arjeplog)にある、広大な寒冷地テストコースで、911 ダカールをドライブ。凍結湖の厚い氷や圧雪路面を走行することで、より実際の走行条件に近いコンディションでのデータを得ている。

雪上では路面μが低いため、トラクションとステアリングの精度が試されることになった。雪上でも、オフロードでも、911を名乗る限り、正確なスタリングからのフィードバックが求められる。ポルシェのブランドアンバサダーを務めるロールは、911 ダカールの完成度に感銘を受けたようだ。

「とにかく、911 ダカールはドライブがとても楽しいことに、まずは驚きました。すべてが正確かつ完璧に作動してくれます。ポルシェのドライバーは、実際に自分で運転するまで、この素晴らしいパフォーマンスが信じられないかもしれません」

砂漠地帯で発揮された911 ダカールのポテンシャル

モロッコやドバイの砂漠地帯で、走行を繰り返す、ポルシェ 911 ダカール。
過酷なモロッコやドバイの砂漠地帯で行われた過酷なテストにおいて、911 ダカールはそのコンセプトの優秀性を証明することになった。

911 ダカールは、砂壁が聳え立つ砂漠でも、その実力を証明しなければならなかった。ドバイとモロッコで行われた砂漠テストでは、ポルシェの開発ドライバーたちが、容赦なくこのオフロードスポーツカーに負荷をかけている。

最高気温45℃という厳しいコンディション下、911 ダカールは50mの落差がある険しい砂丘を舞台に、何度も何度も走りを繰り返した。911/718モデルライン担当副社長のフランク・モーザーは、砂漠地帯でのテストを次のように評価した。

「911 ダカールは砂漠でも圧倒的なパフォーマンスを発揮しましたね。このようなコンディションにおいて、911 ダカールはそのコンセプトの利点を最大限に生かすことができます。低重量、高い最低地上高、パワフルなリヤマウントエンジン、そしてショートホイールベースの組み合わせは、爽快なドライビングエクスペリエンスを実現しました。私自身も砂漠でのテスト走行で、それを体験することができました」

ベルクマイスターやカーンも完成度に太鼓判

南フランスのシャトー・ラストゥールのグラベルコースを走行する、ポルシェ 911 ダカール。
911 ダカールの最終仕様のステリングを握ったベルクマイスターやカーンは、あらゆる路面におけるパフォーマンスを絶賛している。

ポルシェのブランドアンバサダー、ヨルグ・ベルクマイスターも911 ダカールをテスト行っており、グラベルとアスファルトの両方で、911 ダカールのドライビングダイナミクスに驚かされている。

「これだけの地上高と全天候タイヤを履いた車両が、アスファルトでもノーマルのポルシェ 911と変わらないフィーリングを得られるとは思っていませんでした」

開発ドライバーを務めたラース・カーンも、911 ダカールの完成度を絶賛した。

「最初は911 ダカールを限界までプッシュする勇気がなかったんです。でも、グラベル路面でのハンドリングには心から満足しています。ABSもグラベルでのブレーキングに最適化されていますし、オフロードタイヤのトラクションの高さには誰もが驚かされるでしょう。とにかく運転するのが楽しくなるクルマです」

チリのオホス・デル・サラードの急激な斜面を登坂する、ポルシェ 911 カレラ 4S。

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