「ボルボ C40 リチャージ」が前輪駆動から後輪駆動となった理由

メカニズム的大変革をサラリとできるBEVのメリットを体現した「ボルボ C40 リチャージ」とは?

新色が追加された以外、外観上の変化はない。旧モデルのオーナーにも優しい(?)。
新色が追加された以外、外観上の変化はない。旧モデルのオーナーにも優しい(?)。
C40とXC40のBEVのモーターが前から後ろへ移動し、後輪駆動車となった。同時にバッテリーの強化など、実質本意の改良が加えられている。(GENROQ 2023年10月号より転載・再構成)

Volvo C40 Recharge

BEVのメリットを発揮して

現在、ボルボのラインナップで内燃機関を搭載しない完全EV(BEV)を用意しているのはC40とXC40。この両車は共通のプラットフォームを持つのでEVのシステム自体は共通だが、C40はBEV専用車であり、XC40はBEVに加えて48Vマイルドハイブリッドも用意されている。

この両車のBEVモデルに変更が加えられた。最大の注目はリヤモーターによる後輪駆動となったことである。従来はフロントモーターの前輪駆動だったので、メカニズム的には大変革だ。こんなことがサラリとできてしまうのもBEVのメリットであり、内燃機時代の常識というのはまるで通用しないんだな、と実感する。それに伴ってモーターを自社設計の高効率なものに変更、バッテリーの容量を69‌kWhから73‌kWhへと拡大し、満充電での走行可能距離は590km。それでいて外観は新色を2色追加したくらいで、ほぼ変わりなしというのがいかにもボルボらしい。

試乗したC40は新色のひとつ、クラウドブルーにペイントされていた。ブルーといっても淡いアースカラーで、C40によく似合う。後輪駆動になったことを街中のドライブで実感することは難しいが、スロットルやステアリングの動きに対する反応は実に素直で、非常に運転しやすい。モーターのマウント位置も変更して振動が少なくなったそうだが、それもこの素直なドライバビリティを生み出しているのだろう。

システムの進化をリアルタイムで体感

もうひとつ、今回新たに採用されたワンペダルオートが面白かった。いわゆるワンペダルドライブはちょっとアクセルをオフにしただけで強烈な回生ブレーキがかかるのが馴染めない、という人も多いと思うが、このワンペダルオートは前方に車両等がいない時はアクセルオフではコースティングを行い、前車が検出された時のみ距離を保つために回生ブレーキを強めにかけるというものだ。

実際にやってみると通常のクルマとほぼ同じアクセルワークで走れるのに、赤信号などで前車が停まっている時はアクセルオフで回生ブレーキが強めにかかるので実に便利。このようなシステムの進化をリアルタイムで経験できるのも、過渡期のBEVならではだろう。

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)
MAGAZINE/GENROQ 2023年10月号

SPECIFICATIONS

ボルボC40リチャージ・アルティメット・シングルモーター

ボディサイズ:全長4440 全幅1875 全高1595mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:2020kg
モーター:交流同期式
最高出力:175kW(238PS)/4000-5000rpm
最大トルク:418Nm(42.6kgm)/1000rpm
トランスミッション:1速固定
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前235/45R20(8J) 後255/40R20(9J)
車両本体価格:739万円

【問い合わせ】
ボルボお客様相談室
TEL 0120-922-662
https://www.volvocars.com

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著者プロフィール

永田元輔 近影

永田元輔

『GENROQ』編集長。愛車は993型ポルシェ911。